髪を染めて「頭皮が痛い!」と感じたことはありませんか?私は以前白髪染めが頭皮にしみて、カラーを終えた後も数日間は頭皮がヒリヒリと痛んだ経験があります。
病院に行くべき?と悩んでいる間に症状が落ち着いたため結局行かずに済みましたが、実はこの時白髪染めによるアレルギーを発症していました。白髪染めだけに限らず、ヘアカラーが原因でアレルギーを発症する人口は増加傾向にあり、近年その危険性が注目されています。
過去には元SMAPの中居正広さんもヘアカラーでひどいアレルギーを起こし、病院に駆け込んだことがあるそうです。このようにアレルギーはもはや髪を染めている人なら全員が抱えるリスクとなっています。
そこで今回はヘアカラーによって引き起こされるアレルギーの原因を探るとともに、病院に行く目安などについてもお話していきます!
目次
アレルギーになる原因は?危険なパラ系染料とは?
まずはどうしてアレルギーが起こるのか、その原因について考えていきましょう。
市販商品を使って自分で髪を染めたことがある方はご存知かもしれませんが、一般的なヘアカラー剤は1剤と2剤に分かれており、それを混ぜ合わせて色を作ります。1剤には酸化染料とアルカリ剤、2剤には過酸化水素水と呼ばれる成分が入っていて、正直どれも肌や髪にいい成分とは言えません。
特に危険なのは酸化染料で、別名パラ系染料とも呼ばれる強いアレルゲンを持つ成分が入っており、多くのアレルギー発症のリスクを高めています。
アレルギーは体内にあるアレルギー成分許容量がオーバーすることで起こるので、今までアレルギー症状が出なかった人でもパラ系染料を使用し続けるとある日突然アレルギーを発症する可能性があります。
パラ系染料って?
パラ系染料の歴史は意外と古く、1863年に成分が発見され、その後すぐに天然由来染料の染色力を増強させる目的でヘアカラーに用いられるようになりました。
海外ではその危険性の高さから使用を禁止している国もありますが、日本では成分発見から約150年が経った今でもなお、広くヘアカラーに使用されています。
パラ系染料は染色できる色の幅が広く、染色後の色持ちもいいことがメリットですが、肌に直接触れると体内の免疫系に異常を来たし、アレルギーを発症する可能性が高いため現在は消費者庁からも注意喚起がされています。
「パラ系」と総称される理由は豊富な色を作るため様々な成分に分かれているからで、パラ系染料には
- パラフェニレンジアミン(黒褐色)
- パラトルエンジアミン、パラアミノフェノール(明褐色)
- パラメチルアミノフェノール(薄黄色)
- ニトロパラフェニレンジアミン(赤色)
- パラニトロオルトフェニレンジアミン(橙色)
- パラメトキシメタフェニレンジアミン(紫青色)
これだけ沢山の種類があります。どの成分も危険度が高く、中には発がん性物質を含んでいる成分もあるため、できるだけ使用を控えることをおすすめします。
特に妊娠中の方はパラ系染料の毒性が胎児に影響を与える可能性があるため、使用してはいけません。
パラ系染料によるアレルギー症状って?
パラ系染料によるアレルギー症状は使用直後から48時間以内に起こるとされており、頭部や顔面、首などがかゆくなったり、痛んだりするというのが代表的な症状です。
しかし症状が重症化すると
- むくみ、腫れ
- 皮膚炎症
- 喉や目など、粘膜の痛み
- 頭痛やめまい、気分の悪さ
- 腎臓障害
- 呼吸困難
- アナフィラキシーショック症状
など一歩間違うと命を落としかねない事態に陥る可能性もあります。
このようなアレルギー症状が出た場合は、ただちにヘアカラーを中止し、すぐにカラー剤を洗い流してください。それでも症状に改善が見られない場合は病院を受診するが必要があります。
病院にいくタイミングは?目安になる症状はある?
実際にアレルギーかな?と思う症状が出ても我慢できるレベルのかゆみや痛みの場合、病院に行くべきかどうか迷う方も多いのではないでしょうか?実際私は迷いました。
しかし結論から言うと少しでもアレルギーの疑いを感じたらまずは病院へ行くようにしましょう。
その理由は病院に行くと血液検査やパッチテストでパラ系染料のアレルギー診断ができるから。かかる病院は皮膚科でOKです。症状が軽度の場合、自然治癒や市販薬の軟膏で治る可能性もありますが、やはり一度病院で先生に診てもらったほうが適切な処置が受けられるので安心できますよね。
また、自分がパラ系染料にアレルギーがあると診断で証明されれば、その後ヘアカラーの成分に注意を払うこともできます。「病院に行くのは面倒」「これくらいなら大丈夫」などと思わず、アレルギー症状が出た際は一度病院の門を叩いてみて下さい。ちなみに病院での治療は炎症を外から抑える塗り薬と、かゆみを内側からしずめる飲み薬をセットで処方する方法が一般的です。
すぐに病院に行った方がいい症状とは
よく知られているように、「ヘアカラー」と呼ばれる毛染め剤製品はふつう2つの違う溶剤でできています。よく「1剤」「2剤」と呼びますが、1剤は酸化染料と呼ばれる染毛料、そしてアルカリ剤が入っています。
そして2剤には酸化剤(過酸化水素水)が入っています。1剤を使って髪表面のキューティクルをこじあけて、2剤との反応で髪の脱色剤として作用します。
そして発生する酸素によって酸化染料が発色します。これがヘアカラーの基本的な仕組みなんですが、実はこの作業は人体に悪影響を与えることがあるんです。
症状の程度はいろいろですが、中にはすぐに病院に行くほうがいいものがありますから、まずはあなたの症状をしっかりチェックして危険性がありそうな場合は早めに病院に行く準備をしましょう。
まず、頭皮がじゅくじゅくするようになったり、目のまわりや顔が腫れてしまったり、動悸やめまいが起きたりした時は迷わず病院に行きましょう。
こうしたアレルギーは、「パラフェニレンジアミン」などの物質が関係している場合があります。これらの物質が皮膚の乾燥部や傷があるところに接触すると、免疫系が働きます。
しかし免疫系が敏感に反応しすぎると蒸気のような強すぎる症状が出てしまうのです。重い症状だと、呼吸困難や全身じんましん、意識障害などが発症することもありますので、かぶれを感じたら使用中でもすぐに中止するようにしましょう。(美容師さんに悪いとか感じる前にあなたのカラダへの悪影響を第一に考えるべきです。)
頭皮の痛みやかゆみは軽い?軽度なら自宅で処置?
ちょっとしたヒリヒリ感やかゆみは、必ずしもアレルギー症状とは限りません。その日の体調が悪かったり、敏感肌が理由で炎症が起きてそうなるときもあります。
もし最初のほうにこういう症状を感じても少したてばおさまってくるようであれば、肌の弱さなどが原因と考えられます。
しかしもし症状が少しでも増してくるのであればアレルギー反応だと考えられるので、病院で調べてみてもらうほうが良いでしょう。もし単なる炎症であれば、自宅での処置でも大丈夫でしょう。
対策としては冷やしたり、熱ダメージを与えないことです。髪の毛をシャンプーする時も、38度以下のぬるま湯にしたり、ドライヤーをかける時は冷風モードにすると良いです。だいたい数日で炎症はおさまってきます。
少し様子見が必要な症状とは?
実はヘアカラーによる皮膚炎には、「刺激性接触皮膚炎」というものと「アレルギー性接触皮膚炎」とがあります。
前者はヘアカラー溶液のアルカリ物質や酸物質が、皮膚の細胞にダメージを与えることでおきる皮膚炎です。こちらの場合は肌がピリピリしたり赤みが出たりしますが、様子を見て炎症がおさまれば極端に心配する必要はありません。
しかし後者はアレルゲン物質が原因で起こるもので、最悪の場合死亡例もあります。
こちらの場合ブツブツができたり、赤みが顔や耳や首にできたり、頭皮のかゆみがあったりしますが、すぐに症状があらわれずに、6時間後から12時間後に出始め、48時間後くらいにピークになることがあります。
この辺を目安にして判断して、危ないと感じたら、様子見などせず、緊急で見てもらえる病院に行くべきです。
このように、ヘアカラーを使って赤みやヒリヒリ感を覚えたら、単なる「刺激性接触皮膚炎」と簡単に考えずに、しっかり経過観察をしなければなりません。
時間と共にアレルギー症状がはっきりするかもしれないので、皮膚科の診察をすぐに受けられるように、早めに連絡したり備えておきましょう。
アレルギーを起こさずヘアカラーする方法は?
パラ系染料は今でも多くのへアカラーに配合されており、ヘアカラー染料の中では代表的な存在です。
このことから、アレルギーを発症した人の中には「アレルギー症状が起こるから一生髪が染められない…」と考える人もいますが、パラ系染料を含まない商品を使えばアレルギーの人も問題なく髪を染めることができます。
パラ系染料を含まないヘアカラーは植物由来の染料でできたヘナ、カラー剤を頭皮につけない染色方法のヘアマニキュア、肌に優しくトリートメント効果が高いヘアカラートリートメントの3種類が有名です。
その中でもヘアカラートリートメントは
- 肌や髪にやさしい成分でできている
- 染める手間がかからない
- ヘアカラーとヘアケアが同時にできる
という理由で近年人気が爆発し、おしゃれ染めから白髪染めまで多くの商品が販売されていることから、今では老若男女問わず指示されています。
ヘアカラートリートメントはシャンプー後の髪になじませるだけでヘアカラー効果とトリートメント効果を発揮してくれる商品です。素手で触っても問題ないくらい肌に優しい成分でできていますが、パラ系染料に比べると染色力は低くなるため、継続的に使用する必要があります。
最近ではパラ系染料によるアレルギー症状が出ない人でも、アレルギーを予防する目的や、肌や髪に優しいというメリットに惹かれてヘアカラートリートメントを選択する人が多くいます。
まとめ
今回はパラ系染料について詳しくお話しました。ヘアカラーは現代人にとって欠かせないおしゃれの1つです。長く使うものだからこそトラブルは避けたいですよね。
パラ系染料のメリットは魅力的なものが多く、ついつい軽度のアレルギーなら使用を続けたくなる人もいるかもしれませんが、アレルギーは重症化すると健康を害し、最悪の場合は命の危険を脅かす可能性もあります。
また、一度発症したアレルギーは完治することはなく、一生アレルギーに気を使って過ごすことになってしまうのです。アレルギー症状が出た場合はただちに使用を中止し、すぐに病院の診察を受けて下さい。
アレルギー症状は時間が経つにつれて深刻化することもあるので、自己判断は禁物ですよ。また、その後はアレルギー症状を引き起こさないように、パラ系染料が入っていないヘアカラーを使って、アレルギーとは無縁の楽しいヘアカラーライフを送りましょう!